おいしい話【タコス】後編

おいしい話

おいしい話」は沖縄で食べた料理の話が中心ですが、あまり、お店の名前は書かないのでグルメガイドにはなりません。でも、沖縄で食べても内地で食べても、おウチで食べても、思い出すと食べたくなる料理が多いのです。

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「タコス縛り」と言う謎の遊びは家族のキズナを深めた

リゾートホテルの朝ごはんの多くはバイキング形式で食べ放題になっていて、しかも、美味しい。美味しい料理が食べ放題なのだから、終盤には好きなものばかり食べ続けているのが、常だ。すると、どうなるのか?お腹がいっぱいになる。チーズたっぷりのバーガーを3つも食べると腹持ちも良くて、お昼の12時になってもお腹が空かない。

すると、どうなるのか?気合いを入れて観光しないと、お昼ご飯が食べられない!そこで、近くの灯台で思いの外に時間と体力を費やして遊ぶと、満腹になった胃袋に、少しの”空き”ができた。
と、言っても、少しの空きだから、ステーキハウスや沖縄そばの店は少々重い、僕一人なら何とか食べられても子供達が完食できるとは思えず、その残りを平らげるまでは心許ない。国道へ戻る道を進みながら「サーターアンダギーぐらいかなぁ・・」と考えていたら、通り道にあったゴルフ練習場の隣にある喫茶店(室?)にたなびくノボリが見えた。はためく文字が読みにくいものの、そこには”おいしいタコス”と書かれていた。

妻も見つけていたようで、先に声に出す。「美味しいタコスやて、お昼(ご飯)は、あれくらいで良いかも?」ゴルフの練習に縁がないようなファミリーを乗せたレンタカーを駐車場に停め、ジャンケンに負けた妻がお店に走る。

子供達と一緒に喫茶店を見ていると、2P入りのプラ容器に入ったタコスを持って、なぜか全力疾走で妻が帰ってきた!「なんで走っててんねん?」と声をかけたが、「わからん」と返された。

沖縄で食べるタコスだから、きっと美味しかったんだろうけど、今も”味の記憶”が残るほどではなかった、だけど、色々と味の感想を車内で言い合ううちに”ゴルフ練習所タコス”が「はじまり」になってしまっていた。つまりこうだ!僕らは、国道に戻って南向きに走っていると反対車線にある食堂に”タコス”の文字を発見する。「あそこで売ってるわ」もう、車内は「次のタコスを食べる」空気になっている。

急いで車を何かのお店の駐車場に停めると、今度はジャンケンに負けた僕と長男が一緒に買いに行く事になった。観光客の親子連れが、少し離れてしまった信号まで駆け戻り国道を渡ると、また南へ向かって少し走ると店にたどり着いた。黄色に塗られた壁が鮮やかに見えない程度に古い食堂で、店内には”夏川りみ”や”BIGIN島袋勝”と書かれた色紙が飾ってあった。(たぶんこの二人だったと思うのですが、遠い記憶を探っているので間違っていたらスミマセン。)

できたてアチコーコーの3P

タコスを食堂のココの3P入りのタコスを持って、来た通りに信号まで戻ってU字型に車に戻ってくると、念のために運転席に座っていた妻と場所を替わって、食べながら走り出した。パリパリの皮とキチンと味付けされたひき肉が美味しかったけれど、お店の名前も場所すらも思い出せない。

琉球八社のひとつ普天間宮にお参りすると、大きな道を挟んで有名なタコス屋さんが目についた。大きな交差点で歩道橋しかなかったので、僕は一瞬躊躇したけれど、妻は橋を駆け上がり4P入りのタコスを買ってきた。すでに「見つけたら買いに行く」空気になっていた。
有名店のアメリカンタコスは「さすが!」の味だった。

レンタカーに戻ると、次の目的地まで道を確認して走り出したが、子供達はタコスを頬張りながら、次の”タコス屋”を探す目を窓の外に向けている。

石川では、壁に直接書かれた”ターコース”に惹かれて家族で店内に乗り込んだところ、おばさんが熟練の技でつくるタコスは「絶品」だった。妻がおばさんに感謝を伝えると「トルティーヤはJimmy’sで売ってるよ、買って帰りなさい」と笑いながら教えられている。

コザ商店街の共同駐車場に停めて食べたタコスは、関西人なら誰でも「おいしいじゃ、あ〜りませんか」と叫んでしまう味だ。(ある一定の年齢を超えた関西人かも?)

沖縄では、店名やノボリがない店にもタコスが提供できる店はたくさんあるに違いない。お昼の小腹を埋める軽い食事のつもりだったのに、最後は家族全員が「もう晩御飯いらんわ」 となってしまった。

お昼からタコスばかり食べ歩いて晩御飯が食べられなくなったのを知人に話すと、『ええ!沖縄に行ったのにもったいない、せめて沖縄そばでも食べないと』というパターンと、『ええ!、沖縄でないとできない食べ歩きですね、楽しそう』のパターンだ。僕は「初オキナワじゃなかったから、遊びでお腹いっぱいになったわ」と、どちらにも相槌を打つような話で返す。もちろん、”あの日のタコス” は、今でも格別の思い出だ。

思い出の”タコス”は共通でも、その味は共有できてない

僕たち夫婦にありがちなのですが、見たばかりの景色の記憶が「なぜか二人でズレてしまう」ので、もし僕たちが事件の目撃者になっても、二人の見た(はずの)犯人像は一致せず、絶対犯人は捕まらないと思います。そんな、僕らがした”タコス”に関する会話です。

M『整骨院のマッサージの先生、沖縄に行ってきたって』
A「へぇ、どこら行ったんやろ」
M『初日にチャーリー(タコス)に行ったって、あたしの話でチャーリータコスに行きたくなってしまって、空港から一気にコザまで(車を)走らせたって』
A「それは正解やね、初タコスやったらあのパリパリ感にハマるわ」
M『え?チャーリーはしっとり系のトルティーヤやん』
A「パリパリ系やろ、しっとりは北谷の”メキシコ”やん」
M『メキシコってアタシ行った?』
A「行ってるわ!俺が誰と行くねん。店の隣に駐車場があって、いつも混んでる店」
M『パリパリって言うなら、那覇の”赤とんぼ”やろ』
A「待て待て、サンライズ那覇のとこやろ、ちょっと大き目のタコス」
M『そうそう、あそこはパリパリやん』
A「そこは行ってないやん!食べてないやん!」
M『動画で見たもん、パリパリ系やった。たぶん、美味しいと思う』
A「たぶんって何やねん!行ったとこを言えよ、パリパリ系のタコスならならキンタコやろ」
M『キンタコ?たこ焼き?』
A「なんでやねん!”キングタコス”やん、普天間宮の前とか海中道路の手前とか」
M『あそこは美味しいな、(移転前の与勝店で)柱にヤモリが居たところやんな』
A「そうビックリしたよな、ハンバーガーも買って海中道路のベンチで食べたな」
M『いや、今はタコスの話やで』
A「ヤモリよりハンバーガーの方が、まだタコス寄りやん」
M『それより、石川のおばちゃんとこはパリパリしてたわ』
A「ターコースやなぁ、確かに一番パリパリ系かも知れん。閉店したのが惜しいな」
M『な!そうやろ』
A「何が?」
M『よく考えたら、やっぱりチャーリータコスはしっとり系になるやろ』
A「いやいや、あれくらいパリッとしてたら”しっとり”とは言わんやろ」
M『齢とったら、頑固やな』
A「喜屋武岬のキッチンカーで食べたタコスはしっとりしてた」
M『あれは、小麦粉のトルティーヤやん。焼いたヤツ混ぜたら話が変わってくるわ』

共通のはずの思い出が”共有できていない”不思議はあるものの、小麦粉のトルティーヤを出したのは、僕の敗因でした。ともあれ、ややしっとりしていた方が「(こぼさずに)食べやすい」ってところは意見が一致しました。
今回は、メキシコ→チャーリー多幸寿→キングタコス→USレストランの順で、しっとりから変化してくるってことで、話がつきました。もちろん、「久しぶりに食べ比べをしに(沖縄に)行かなあかんな」って予約付きで。

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