沖ハマりの日常 vol.20

沖ハマりの日常

去年は沖縄に行ったから今年はどこに行こう」なんて、言っていたはずなのに
「北海道がいい」とか「ネズミの国」がいいとか言ってたはずなのにー
気がついたら那覇空港にいてしまうような沖縄好きの戯言です。

スポンサーリンク

No.47 魚紋のやちむん

”やちむん”とは”焼き物”いわゆる陶芸の事で、沖縄には那覇の壺屋地区と読谷村が有名ですが、どちらも”壺屋焼”と呼ばれます。「読谷焼きではないの?」といささか疑問に思われる方もおられますが、読谷村に那覇の壺屋からいくつかの窯元が移転した歴史があるからです。沖縄に限らず全国的に同じ経緯を辿ることになったのですが、窯元周辺の街が市街化してくると、古来の薪窯では周囲に煙害を及ぼすため、町の発展に合わせる形でガス窯や電気窯に移り替わって行くのです。

那覇市の壺屋でも都市化の進んだ1970年頃から登り窯から出る煙が住民との折り合いを悪くしていったために、火加減が調整しやすいガス釜に替える窯元が増えたようですが、中には薪窯にこだわりを持つ窯元もあって、後に人間国宝となる金城次郎さんらが、読谷村に移転し従来通りに薪の登り窯を作り、現在の読谷村「やちむんの里」に至ります。

ちなみに、琉球王府が美里村知花窯、首里宝口窯、那覇湧田窯の3つの窯元を那覇市壺屋に集めたのが壺屋焼の始まりと言いますから、読谷村に移った人たちは”読谷焼”を名乗っても良かったのでしょうが、「焼く場所が変わっても、焼くものは同じさ」と”壺屋焼”の誇りが感じられるようです。

前述の金城次郎さんの作品ならば、ぐい呑程度でも数万円の値が付きますので、「欲しい」からと言っても簡単に手に入るような代物ではないのですが、”金城次郎一門”、つまり、子供や孫、兄弟、甥や又甥の陶芸家まで広げれば、僕でも手の届く作品があります。

金城一門の特徴的な図案でもある魚紋ですが、同じ紋にしても作り手によって随分と印象が異なります。鱗まで力強く描かれたものもあれば、どことなく笑みを浮かべているようなものもあります。新しい工房では華やかな色使いのものもあります。壺屋焼の特徴とし「素朴さと力強さ」が挙げられますが、時流に流されず「素朴でありながら華麗、力強くありながら繊細」と進化を続けているように思います。

僕のお気に入りは、長男”金城敏男”さんの長男、つまり次郎さんの孫にあたる”金城吉彦”さんです。刻印はカタカナの「ヨ」、最初に刻印を見た時は「山?」に見えました。厳しすぎず優しすぎない魚紋は、ぐい呑ならば泡盛を注ぎ魚を泳がせて完成したように思います。
神戸市長田の店で見つけた小さなぐい呑みは、百均で色々な陶器が買える時代に2000円もして、買うまでに随分と考えました。悩む僕に、店員さんが近づいて来て、敏男さんや須美子さんの作品が置かれた棚を薦めますが、2000円で悩む僕に何を言ってるんだ?と思いました。

いえいえ、そうではなく、吉彦さんの魚の表情が妙に気に入ったのです。10年後に小皿も買いましたが、模様を気に入った後に刻印を見ると「ヨ」の字が入っていました。スクガラスの乗った豆腐を乗せると、これが映えるんです。もちろん、泡盛を張った”ぐい呑”でいただきました。
それから、30年ほど経ちましたが、今では読谷村で次郎さんの”金城製陶所”を継いでいるとか。もう、2000円で買えるぐい呑みじゃなくなったでしょうねぇ
「何の!」僕も今なら5000円は出せます! いつか、やちむんの里を訪ねたいものです。

No.48 仕事で頑張る人は”逃げ場所”を用意して

僕が、仕事のストレスで血を吐いていた頃には、「沖縄でリフレッシュする」なんて、思いもつかなかった。仕事のストレスで、毎日、悩まされていた頃に、初めて沖縄に行ったら、仕事のストレスから一時的に解放された。仕事が変わり僕も進化しても、ストレスがない仕事はないから、定期的に沖縄に行くようにしたら、また、定期的にストレスから解放されるようになった。
血を吐かなくなっても、強迫観念に追われなくなっても、生きることに頑張って、ストレスを見つけて沖縄に行き続けてる。

今なら言える、「逃げ場所に逃げ込むのは良いんやで」どうせ、また頑張るんやから堂々と逃げような。まず、頑張ってからね。

No.50 新しい友人が駅ナカの九州物産展の情報をくれた

部署が変わって、新しくできた友人から、突然、7枚の写真を添えてメールが来た。「駅ナカで九州物産展してて、沖縄のものもイッパイありますよ」彼女はリサーチで僕の沖縄好きを知ったから、駅で見かけたイベントを僕が喜ぶと思って、メールをくれたに違いない。添付写真は、ちゃんと商品と値段がわかるように撮り方が工夫されていた。

その優しさに応えようと、写真を1枚づつチェックする。「うわ、ありがとう、そのジーマミー豆腐やけど、沖縄のスーパーの倍近い値段やわ。でも、そんな銘柄のもの見た事がないから、賞味期限が短か目の上等なやつかも知れん。いつも、賞味期限が長いのばっかり買うから。www」「おお、その塩もずくは浜比嘉島のオバーと比べると凄く高いけど、美味しそうやわ。買うなら、塩もずくの塩抜きに気をつけてね、ボウルに浸けるんじゃなくて流水で5分間洗って塩を抜くの。漬けて抜いたものと味と食感にすごい違いが出るからね」次の写真には大阪にも支店があるところの商品だ。「そのポークはスパムやチューリップと明らかに味が違うねん、不味いとかじゃなくて、少しあっさりした味わいが特長やねん」

写真を見るたびに文章が湧いてくる。「ご飯のお供に油味噌って、ああアンダースーね、うちで作る時は豚肉少し大きめに切るからブタ味噌とか言ってるわ、それは美味しいよ。でも隣の豆腐窯って、酒のつまみに爪楊枝で舐めながら飲んだ事はあるけど、ご飯のお供になるのもあるんやね」「お、その車麩やコンビーフはお買い得かも、チャンプルするんなら買っておけばいいよ。ああ炒め物のことね」「軟骨ソーキもあるやん!美味しいよねぇ、トロトロプルプルやもんね、それ買ったら沖縄そばの麺もいるよね、大正区に行ったら生麺も置いている店があるけど、そこだと乾麺しかないやろうな。あ、美味しいよ、乾麺でも、うちで作る時は生麺が多いから」

せっかくだから、新しい友人にも沖縄の良さを教えている気分になってきた。「じゅーしーの素も写ってるけど、何味のやつかな?やっぱり、ちょっと高いけど輸送料を考えたら仕方ないよね。僕らは沖縄のスーパーで買い溜めしているから大丈夫。ありがとう。沖縄そばとセットで食べると、また美味しいのよ」「ああ、カップ麺の沖縄そばがあるね、せっかくだから、乾麺なら置いてあると思うから家で作ってみないと、さっきの軟骨ソーキとジューシーで完璧」

彼女が送ってくれたメールの20倍以上の長文を20分以上も経ってから送信した。軽いノリで送ってくれただけだろうに、面倒臭い奴だと思われただろうなぁ。でも、沖縄のスーパーのカード作ってるくらいやし「沖縄のものイッパイあるって」言っても九州展の1コーナーやし、と思っていたら、彼女から返信が来た。「詳しいんですね、ビックリしました。でも、イッパイあるでしょ」と言うので、沖縄のスーパーで買い物した時のカゴの写真を送ってあげた。「これ、まだ買い物の途中やってんけど、いつもこの倍くらい買い物してしまう」

昔からの友人からは、九州物産展どころか沖縄物産展の写真も送って来ない。せめて、百貨店でやる「催し物」くらいでないと、お互いに目新しい商品が見つからないのを知っているからね。

タイトルとURLをコピーしました