去年は沖縄に行ったから今年はどこに行こう」なんて、言っていたはずなのに
「北海道がいい」とか「ネズミの国」がいいとか言ってたはずなのにー
気がついたら那覇空港にいてしまうような沖縄好きの戯言です。
No.45 愚痴を聞いた友人が放ったひと言

帰阪から3週間経った頃に、ふた月ぶりに沖縄好き仲間の友人にボヤいた。
「今回の沖縄はタイヘンやったわ」で始まる僕の言葉に、友人は、常に新しい情報を集めたがる癖で話の続きを促してくれる。「え?まだ沖縄から戻ってひと月も経っていないでしょ、何があったんですか」彼女が誘ってくれたので、僕は一気に愚痴り出した。
「今回はね、ほとんどが、強風と曇り時々雨やったわ。初日は、到着してすぐにレンタカーで恒例の神社にお参りして、先祖の墓参りもできたんやけど、晴れていたのはこの日でしまい。二日目なんか、朝から雨降っているのに、兄貴のわがままに付き合って山登りやで、標高345mでもアップダウンが激しくて体力ゴッソリ奪われたわ。雨も止まないからカッパ着ていてもびしょ濡れよ。唯一、良かったのは山頂付近の奥宮をお参りできた事かな。テレビ番組で知ったんやけど、絶対に行きたかったからなぁ、嬉しかったわ。でもな、体力と体温が奪われたから、ひがし食堂でぜんざい食べるのがやっとで、ホテルに戻って寝てしまったよ。なんだか、頭も痛くなってくるし、沖縄で初めてホテルライフした感じやったわ。いつも、夜遅くまで遊んでいるから気づかなかったけど、リゾートホテルって寛ぐための設備も多いねんなぁ、初めて知ったわ。おかげで、体力もいくらか戻ったし、夜から民謡ライブに行けたんやけどな。風邪をひきかけてたのか?、泡盛がよく回って、すぐに酔ったわ。まぁ何とかカチャーシーで指笛吹けたけどな、泡盛って飲み過ぎたら風邪を治すんやと思ったで。治ったと思ったから、2ステージ目も聞いて、カチャーシーに参加して、せっかく戻った体力以上にハシャいだから、店を出て20分後には鼻水だけじゃなく熱もドーン、喉も痛くなって、さらに鼻水追加でタイヘンやった。昔はホテルで薬も用意してくれたと思うんやけど、最近は、薬事法の関係とかで治療薬は置かれへんみたい。せやから、薬を求めて深夜の名護までGOやで。まぁ、名護まで行ったら12時頃でもお店が開いてるとか分かったね。いや、もう夜中に車走らせて薬を買いに行くとかいらんけど、おかげで、次から胃薬と風邪薬は必須やなと思ったわ。天候も体調もサイアクやから、いくら薬を飲んだと言っても鼻水と咳き込みで熟睡という訳にはいかなかったね。え?話が長い、もうちょっとやから聞いてな。そんな体調やから、翌朝も全快って訳にいかないから、観光はあまり出来なかったわ、でも、結果的に行ってみたかった玉城には行けたけどね。開闢七御嶽のひとつやん、今回の旅行の中で行っておきたい所のNo.1やったかも知れん。印象的な門よりも、門をくぐった後に現れる御嶽の重みって言うのかな、腹の底に響くものを感じたわ、と言っても個人の見解やけどねーハッハハハ、を自然石の階段が微かな体力と膨大な鼻水にはキツイけど、風邪ひかんと近くを通ったら寄るべきグスクではあるな。惹かれたところに行けたのは良かったわ。12月でも、あまり寒さを感じないで済む沖縄なのに、今回は曇り空に強風がメインでしたから、ともかく寒いんですよ。街にはダウン着ている人やマフラーしてる人までいましたからね、沖縄ですよ、汗もかかずにダウンジャケットにマフラーしているんですよ、凄くないですか?そんな街を見れるって。それに、その寒さのおかげでソーキそばが、一層美味しかったですね。普段の味に”寒さ”ってエキスが足されて、温まって美味しいの。風邪ひきさんには紅生姜も効いたね。最終日まで咳き込んでたから、残念ながら国際通りの民謡居酒屋に行けずですよ、これは可哀想でしょ、残念でしょ。仕方ないから、黒糖ピーナッツやサカナの天ぷらをアテに部屋で飲んでましたよ。え?サカナの天ぷらをどこで買ったのか?ですか。市場本通あるでしょ、そこから奥にズンズン進んで、サンライズなはの横に逸れた通りにあった天ぷら屋さん。もう、閉まりかけの時間だったから、むっちゃ安くしてくれた。どうしようかなぁて悩むだけで、もっと値下げしてくれたかも知れん、いや、ちゃんとオバーの言った値段で買ったよ。お酒?サンエーで泡盛を何本か買っていたから、部屋飲みって言っても、結構、酔いましたね。風邪やから、騒げなかったけど、しみじみと妻と話すのも良いものよ」
話の止まらない僕を制して友人が言った。要は、「体調や天候もおかまいなしに沖縄は楽しかったと言う事ですね」「だからよぉ」って、僕は言い「面白くなかったなんて、言ってないよ」と続けた。
No.46 沖縄好きの彼と彼女と飲んだとしても
社内で「沖縄好き」だと公言しているのは別に僕だけじゃなく、何となく、「同世代の彼も沖縄好きなんだぁ」とか、「若い彼女も沖縄好きだったのかぁ」なんて、あまり近しい同僚でもなかったんだけれど、社内のサークルの飲み会で、たまたま同じテーブルになると、自然と沖縄の話になってきた。
彼は、いつも行く宮古の良さを熱弁するが真栄田岬の青の洞窟にピンと来ない。彼女は、透明度の高い沖縄の海は世界に誇れると熱弁するが、世界遺産の斎場御嶽にも行った事がない。
だけど、彼は沖縄のゴルフ場の美しさと、内地では感じられない開放感を絶賛し始める。すると、彼女は、大泊ビーチや古宇利ビーチの美しさと、沖縄の海に入らない勿体なさを語り始める。
彼は、宮古の行きつけの居酒屋では泡盛をキープしていると自慢げに語るり、彼女は古宇利島の満点の星を眺めながら、ビールを飲むのが良いと話す。
そして
僕は潜らないし泳がないし、水着にもならないし、宮古島に行った事がなくて、ゴルフもしないから、想像だけで相槌を打っている。だけど、彼や彼女もグスクや御嶽に行かないし辺戸岬なんて興味もないから、沖縄の子供のように、聞いている時は「ふん・ふん」言っているだけだ。
ただ、三人の共通点は、毎年、沖縄に行くために働いている事だけ。沖縄好き同士で飲んでも、話が盛り上がるとは限らないけれど、「だから頑張れるよね」は意見が一致した。