「おいしい話」は沖縄で食べた料理の話が中心ですが、あまり、お店の名前は書かないのでグルメガイドにはなりません。でも、沖縄で食べても内地で食べても、おウチで食べても、思い出すと食べたくなる料理が多いのです。
クースーさん、僕は若かったんです
まさか、20年後には毎年のように沖縄に行くようになっているとは思いもしなかった。小学生だった息子たちを連れてサスペンス風の実況をつけながら歩いた玉泉洞。薄暗く湿っぽい鍾乳洞を行くと、当時としては”驚き”の泡盛の甕がズラリと並んでいる一角があった。歴史と地球を感じる空間に突如現れた商業的な俗っぽい品々だったけれど薄暗い中で整然と眠る泡盛に魅力を感じないではいられなかった
だけど、あの頃の僕は沖縄旅行に来るだけでギリギリだったので、次にいつ来れるとも分からない沖縄の鍾乳洞に5,000円を預けることはできなかったんです。内地に戻り時が経っても記憶が残るのは3年で古酒になる泡盛を今引き取っていればという僅かな後悔の澱が流れないせいだと思います。
『あの時、仕込んでいれば最高の泡盛に』 という想いが、食事中に少しこぼれてしまった。
「そんなもん違うで!」 突然、妻が言い出した。「あたしなんか玉泉洞に初めて行ったのって、学生の時やってんで!45年もののクースーやで」と、なぜだか僕の僅かな後悔なんて屁みたいなもんだ!という勢いでドヤ顔を見せられた。
だけどね、「そもそもアンタは酒を飲まへんやろ!18歳の学生が泡盛を買わへんやろ!20年以上も経って、また家族旅行で沖縄に行くとは思わなかったやろ」と、即座に思っても口には出さない。
「まだ若かったからな」とだけ告げた。夫婦の会話も40年経つと”まろやか”になる。

酔うまでの泡盛は美味しい
僕は常々思っていたのですが、泡盛は誤解されやすいお酒だと思います。職場でも友人たちの間でも「泡盛が好きだ」と言うと、「うわ、お酒強いんですね」と決まって返されますが、飲めないほどでは無いにしても決して強くはありませんし、酔いすぎての失敗談にはコト欠きません。
確かに泡盛にも強い度数の銘柄はありますが、50度や60度といった火のつくものはもちろん、ウイスキー並みの43度くらいの泡盛は今の”流行り”ではないように思います。国際通りのような観光地だけでなく、大好きなスーパーでも30度や25度どころか、15度くらいの飲みやすい泡盛が多く置かれています。
僕は、30度くらいの泡盛を水割りにして飲むのが好きなのですが、ここからが「泡盛の不思議見」です。ここでピンとくる方は泡盛を普段から飲んでいる人だけだと思いますが、「泡盛って、少しアルコール臭くて嫌い」だとか「なんか、舌を指す感じがイヤ」なんて、おっしゃる方は泡盛をストレートで飲んだことがないか、間違った水割りを飲んだかのどちらかだと思います。
「ストレートはキツいから飲まないけど、水割りなんて味が濃いか薄いかの違いだけでしょ」なんて、言うなかれです。確かにストレートで飲むと一番泡盛の香りや味が感じられるものの喉を過ぎて食道から胃に落ちる辺りには重い刺激を感じる事がありますね、だけど、水割りを濃い薄いでは括れないのが泡盛なんです。
僕のオススメは「泡盛1に対して水1.1くらいですが、氷を入れるなら1:1がベストだと思います」と、答えが出たようなことを言っていますが、実は泡盛の銘柄やその日の温度で若干の味の違いが出ます。
でも、本当に凄いのは数滴の水の量の変化で、劇的に泡盛の味が変わってしまうことなんです。少し、キツく感じたので、少量の水を足したのに、かえってアルコール感が増したり、少し泡盛を足したのに口当たりがまろやかになったり、甘みが出たり。
「会心の水割り!」って思ったのに、すぐ飲まずにいると味が変化してしまったりするので、僕にとっての泡盛はかなり繊細なお酒だと感じているのです。本当に数滴の水の量で変化してしまうので泡盛を足したり水を足したりを繰り返して「泡盛ダンジョン」に迷い込むこともしばしば起こります。迷路を行くのも楽しくて、気の置けない仲間とワイワイやると酔っぱらうこと必須です。
もうひとつのオススメは氷抜きの常温水割りです。これだと、泡盛の風味を損なうことなくいただけますが、氷を入れて飲んだ時に、途中でベストの味わいになることもあります。まぁ、微妙な変化は酒の肴に紛れてしまうことも多いのです。
でも、美味い泡盛を上手く作れた時の嬉しさったら!ψ(`∇´)ψ こんな感じにドヤ顔をしてしまうのですが、美味しい→早く飲む→次を作る→飲む量が増える→酔っぱらう、ので、結局てーげーに作っても一緒なんですけどね
(*゚▽゚)ノ 「あっり、カンパイ」
肴はスクガラス
スクガラス・・・アジのようなセイゴがあるからアジの稚魚だと思っていたら、アイゴって魚でした。沖縄居酒屋に行ったら島豆腐にスクガラスを載せたものを、必ず注文します。
ですが、家でもしようとスクガラスの塩漬けを一瓶買っても、なかなか全部食べきれずに半分も食べきらないうちに賞味期限を過ぎてしまいます。
だから家では食べられない・・・つまり、そこまで好きなわけではなかった。なのに沖縄居酒屋では絶対に注文します。
ここから導き出した結論は「泡盛のアテにスクガラスを載せた島豆腐を居酒屋で食べる」のが好きだってことです。「沖縄通っぽいじゃないですか!」

