おいしい話【タコス】前編

おいしい話

おいしい話」は沖縄で食べた料理の話が中心ですが、あまり、お店の名前は書かないのでグルメガイドにはなりません。でも、沖縄で食べても内地で食べても、おウチで食べても、思い出すと食べたくなる料理が多いのです。

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OKI-MEXって呼ばれる未来もあったはず

TEX-MEX(テックスメックス)という言葉をご存知ですか?僕は知りませんでしたが、「例えば、こんなもの」と説明されると「ああ、それなら知っている」という類の話になると思います。実は、料理のジャンルのようなもので、いわゆる中国料理とかメキシコ料理と同じものなのですが、TEX-MEXとはアメリカのテキサス州の料理とメキシコ料理が合わさったもので、言わば「メキシコ風テキサス料理」の事だそうです。「え?何言ってるの。そんな料理知らないよ」なんて、聞こえてきそうですが、身近にあったんです。

メキシコ料理のタコスをアメリカのテキサス風にアレンジしたアメリカンタコス、例えばキングタコス赤とんぼのタコスはTEX-MEXと言えそうです。メキシコ料理の”タコス”を調べてみると、とうもろしや小麦粉を薄く伸ばして鉄板で焼いたトルティーヤに具を挟み込むのですが、僕がイメージする具と言うとスパイシーに煮込んだ挽肉にレタスやチーズになりますが、ツナやチキンもチャーリー多幸寿で提供されると言っても、ほぼ一択ではありませんか?実際のメキシコのタコスの具と言うと、牛肉のサイコロステーキや豚肉の蒸し煮、鶏肉、羊肉に海老やキノコや色々な野菜を数えると組み合わせ無限大です。あまりの多い組み合わせに思うのは、メキシコのタコスって「トルティーヤに包んで食べる」って料理法の事なんじゃないかなと思います。

一方の、僕らのイメージにあるタコスは、どちらかと言うとアメリカンタコスで、濃い味つけをした具を揚げたトルティーヤに挟んで食べますよね、揚げ方で「パリパリ」になったり、少し柔らかくなったりしますが、トルティーヤを揚げた時点でアメリカンと言えるのです。日本のイメージは在留米軍の影響でアメリカンタコス=タコスと認識されたようです。もう、お分かりですよね、TEX-MEX(テックスメックス)は何度も食べている沖縄のタコスの事なんです。

と、結論づけて終わりにするつもりだったのですが、キングタコスのハードシェルとメキシコのややソフトなシェル、その中間のようなチャーリーのシェル、具にもお店の味付けが存在しますよね。そうすると、そうするとですよ、今、沖縄で食べているタコスは専門店だけじゃなく、食堂やテストラン、カフェやキッチンカーでも食べる事ができますから、すでに沖縄のタコスは「メキシコ風テキサス料理風沖縄料理」の域に入っているんだと思います。テキサスの人は柔らかく揚げるなんてするのでしょうか?知りませんけど。アメリカンタコスを格好良くTEX-MEXなんて呼ぶんなら、僕は沖縄のタコスはOKI-MEXと呼んでみたいと思うわけです。

家でタコライスは作れても、あの形にトルティーヤをあげるは難しいです。

あの頃、呼び名は「ターコース」だった

沖縄のタコスの話をすると、つい「チャーリー行った?コザの、チキンも食べてみた?」とか、「やっぱりキンタコよねぇ、4pって段階でテンション上がるわ」とか、「メキシコ?バリバリばっかり食べてたら妙に本場感があって美味しいよね」なんて、知ったかぶりをしてしまう僕ですが、もう一度食べてみたいNo.1は、石川市にあった[USターコース]のオバチャンの作る”タコス”です。

調べてみると[USレストラン]が正解だったのですが、僕の記憶の中ではお店の壁に直に書かれた[ターコース]の文字が印象に残っていて、「USターコース」と記憶していました。

レトロな店内には、未だに現役のジュークボックスも置いてあって、観光地ではないアメリカンな食堂に来た感じがします。なぜか夜になっても”ランチ”を食べているお客さんが多かったけれど、ここが初めてではない僕らの目当ては”タコス”です。

この店のタコスはいわゆるアメリカンタコスで、トルティーヤがU事型にパリパリになるまで揚げてあるので、絶対に金型を油に投入していると思っていたのですが、厨房前のカウンターから見えたのは、お箸で器用にトルティーヤを整形するおばちゃんの手技の凄さ!僕なんて、「こりゃ素人にはできないわ」とひと目でプロの技に降参したのですが、妻は熱心にカウンターの中を覗き込んでいました。その姿に「ちょっとしたコツでできるのよ」と話ながら箸で中央部分を油に沈めます。
「作ってみたいけど・・」という妻に、「素人にはできないよ!」と怒るのかと思えば、「Jimmy’sにこのトルティーヤが売ってるから買って帰りなさい」なんて、軽く作れそうな雰囲気で話します。「いや、揚げるのが難しそうやから、できないかなぁ・・」と至極もっともで弱気な妻の発言に、なぜか、「いい、見ときなさいね、箸をここに当ててね・・・」優しくコツを教えてくれたおばちゃん。コツを知ったからって、すぐに作れるはずもないのだけれど、その会話のスパイスも効いて、その日もUSレストランのターコースは最高でした。

なのに
うるま市になった石川市を、久しぶりに通ったので、記憶を頼りに車を走らせ、近所の見覚えのあった店から分かったのは、「お店が無くなっている」事でした。感染症のコロナが原因なのか?オーナーの寄る年並みが原因なのか?そのどちらでもあるかも知れないのですが、そこにUSレストランはありませんでした。食べられないと分かったら、無性にあのバリバリのアメリカンなタコスが頭に浮かびます。タコスはもちろんだけど、ステーキサンドも美味しかったよ!オバちゃん。

「タコス」という作り話(全編ウソですからね)

この先は、全部ウソの話です。

沖縄のタコライスって、元々は単なる”蛸ご飯”の事でした。沖縄好きなら一度は驚いた事がある「チキンライス」と同じ事です。つまり、白ライスに鶏を乗せたらチキンonライスで”チキンライス”でしたよね、タコライスもそれと同じで、蛸onライスで”タコライス”という感じです。もっとも、僕たちのよく知る内地”タコ飯”のように蛸とご飯を一緒に炊くのではなくて、あくまでも、温かい白いライスの上に、醤油と味醂で甘辛く煮た蛸を乗せただけのものでした。

それが、いつのまにか、レストランのまかない料理だったタコスの具を乗せただけのご飯が観光客に「沖縄らしい」と評判になってしまい、タコスの具かけご飯である”ライスTaco”が、すでにあった蛸ライスと誤認されたのに、誤認された料理が「沖縄っぽい」と認知されてしまったのです。

そんな訳で
元々の蛸ライスは、表記に漢字の「蛸」を使い、北部の食堂あたりでしかお目にかかれません。

(繰り返しますが、ウソですからね。)

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